模倣品被害の大きさから模倣品対策を考え始める 2022.06.01
本コラムは、模倣品対策でお困りの方々を対象に、何から始めればよいかの参考にしていただくことを目的に書いています。私は、模倣品対策製品を通して、模倣品対策のサポートをしています。サポートの中で気づいた点を、一般論も交えてこのコラムでお伝えしていきます。このコラムを通して、模倣品対策のご担当者のお役に立つことができればこれほどの喜びはありません。内容については、私が知りうる範囲で正確な内容をお伝えしていけるよう努めていきます。実際に模倣品対策を講じる際は、弁護士等の専門家の見解をご確認していただいたうえで実施いただけますと幸いです。
模倣品被害は対岸の火事ではない
模倣品被害は一部の企業に限られた問題と思われているかもしれませんが、実は身近に迫った問題かもしれません。もしかすると被害を受けていることに気付いていないだけで、すでに被害を受けているかもしれません。
模倣品被害規模は6.6兆円、模倣品被害にあった企業は15,000社
日本企業の模倣品被害規模は、デロイトトーマツコンサルティングの調査(※1)によると被害規模は約6.6兆円に上ると言われています。この額は日本の輸出総額の約10%の規模です。ここで模倣品が多い品目をご紹介します。もっとも被害が多いのは「二輪・自動車部品」の3.7兆円で全体の半数を超えています。その他に「電気・電子部品(1.1兆円)」、「医薬品(0.8兆円)」「食品・飲料・たばこ(0.4兆円)」「映像・音楽・コミック(0.2兆円)」と続きます。模倣品被害は規模も大きく、多くの品目に広がっており、冒頭の、すでに模倣品被害を受けているかもしれないという話は決して言い過ぎではないでしょう。
次に模倣品被害があった企業数から模倣品被害の実態を見てみます。特許庁の調査(※2)では15,493社(7.4%)の企業が実際に模倣品被害にあったと回答しています。また、模倣品被害があるか分からない、把握していないという企業は67,817社(32.5%)に上ります。一方、企業の模倣被害対策はどの程度進んでいるのでしょうか。18.8%の企業は何らかの対策を講じていますが、81.2%の企業は模倣被害対策をしていないのが実情です。
※1 デロイトトーマツコンサルティング「(我が国模倣品被害の課題分析及び課題解決のための方策検討に関する調査) 最終報告書 平成29年度知的財産権ワーキング・グループ等侵害対策強化事業」「被害パターン別模倣品被害規模推計」(2022-06-01)
※2 経済産業省特許庁「2020年度模倣被害実態調査報告書」「模倣被害法人数の割合」(2022-06-01 )
さあ、模倣品対策を始めましょう
ここまで、模倣品被害規模や実際に模倣品被害にあっている企業数をお伝えしました。どのように模倣品対策を講じていくべきか、それらを検討するにあたり、役立つ情報を提供することが本コラムの目的です。本コラムでは模倣品対策をどのように進めるかをお伝えしていきます。